東京銀行協会 丸の内にあった煉瓦造りの美しい近代建築 <近代建築 丸の内 東京 大正 平成>

東京銀行協会 丸の内にあった煉瓦造りの美しい近代建築 <近代建築 丸の内 東京 大正 平成>
東京銀行協会
1990年3月25日 東京・丸の内 写真:高橋 秀幸

東京銀行協会は1916年(大正5年)竣工、横河工務所(松井貴太郎)設計によるモダンルネサンス様式の煉瓦造りの建物で、渋沢栄一が創設した東京銀行協会の集会施設として利用されました。
日本橋坂本町にあった東京銀行協会集会所が消失したため、丸の内に場所を移して建てられたものです。

80年代から90年代にかけて、東京や横浜で現存する近代建築の写真を撮っていましたが、当時、東京銀行協会はその美しい外観と皇居の向かいにある環境から、素晴らしい建物が残っていて良かったと感じたものです。
各所に変化に飛んだ意匠もあり見ていても楽しいものでした。

1990年3月25日 東京・丸の内 写真:高橋 秀幸

基本は煉瓦造りでも、壁には鉄筋が入り鉄筋コンクリートの帯をまわし、コンクリートの床など耐火耐震性もあり、関東大震災にも耐え平成になっても現役で使用されていましたが、高層ビルを建てるため1990年(平成2年)9月から解体されました。

翌1991年4月に新たなビルの本体工事を着工し、1993年9月に竣工した高層ビルには低層部に外壁を『ファサード保存』した建築で、このような保存方法が取り入れられた当時の代表的な建築でした。
近くを歩けば高層部分は見えないのでいいのですが、遠くから全体を見ると異質なものがビルにへばりついているようでファサード保存には賛否両論ありました。
その高層ビルも地域の再開発で竣工からわずか23年の2016年に解体され、 2020年竣工予定の新たなビルにはファサードすら復元されません。

近くの赤煉瓦の東京駅は空襲で失われた部分も建築当時の華麗な姿に復元され、東京中央郵便局旧庁舎も重要文化財としての保存は叶いませんでしたが、高層化での部分的保存の建築物の中では比較的良好な形になっています。
また1894年(明治27年)に建築され1968年(昭和43年)に解体されて久しかった三菱一号館は2010年(平成22年)に美術館として当時の姿で復元されていることを考えると、東京銀行協会のような趣のある建物がまったく残されないことになるのは残念なことです。
何十年か後、また復元されるといいですね。

写真は高層化される前の姿で、すでに出入口が塞がれている1990年のものです。
皇居の和田倉濠に面した美しい建築は、この当時から丸の内では珍しいものになっていましたが、まだ周囲に皇居を見下ろすビルはなく、大きな空の広がる丸の内ではありました。

1990年3月25日 東京・丸の内 写真:高橋 秀幸

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